JRの日数が、日本国有鉄道(国鉄)の日数を超える

JRの日数が、日本国有鉄道(国鉄)の日数を超える

↑JR東海が発足してすぐに増備した国鉄形211系は、間もなく全廃になる予定

1月29日付の日本経済新聞朝刊ビジネス3面に、こんなタイトルの記事が載りました。

 国鉄からJRへ
 歴史の長さ逆転

日本国有鉄道(国鉄)の存続日数は13,818日で、JR発足から2025年1月29日までの日数がこれを超えたというのです。
日本国有鉄道は戦後の1949年6月1日に公共企業体として発足しました。かつて学校で習った「三公社五現業」の三公社の一つが日本国有鉄道です。
ちなみに、他の二公社は、日本たばこ産業(現JT)と日本電信電話公社(現NTT等)でした。いずれも民営化されていますね。
その国鉄は1987年3月31日までで、翌4月1日には分割民営化されてJRグループが誕生しました。
そのとき、JR東海は国鉄から引き継いだ車両では足らないとして、国鉄時代に設計・製造された211系を発注して増備しました。新車の開発には時間を要するため、まずは既存形式での増備を選択して、列車の増発を行ったのです。
国鉄から引き継いだ211系はすでに廃車となり、JR東海が増備した211系も静岡支社管内に残るだけで、これも遠からず全廃される予定です。

さて、疑い深い筆者は、国鉄の日数とJRの日数をエクセルを使って計算してみました。
それが次の表です。

↓左が国鉄の日数、右がJRの日数
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2025年1月28日に、国鉄とJRがともに13,818日となっています。
日経新聞の記事通りです。
その後、JRの日数が一日一日伸びているところです。
国鉄は、東海道新幹線が開業した1964年に赤字に転落しています。その後、赤字が膨らみ、債務超過に陥り、結果として分割民営化されました。
一方、JRグループは全体で大きく黒字となり、国鉄債務の返済も順調に進んでいます。
ただし、JR北海道とJR四国は赤字から脱却できる見通しがたたないままの状態で、問題となっています。
また、JR旅客会社すべてとJR貨物はコロナ禍で大きな損失を計上し、その後の旅客数回復も芳しくないことから、JR東海を除いて、ローカル線の存続について沿線自治体と協議する方向となっています。
さらに、近年の自然災害増加により、被災した路線が復旧しないまま廃止になるケースも珍しくなくなっています。
こういった方向がそのまま進むのか、はたまた代替交通となるバスの運転手不足から廃止ができず存続するローカル線がでてくるのか、このあたりは現状はっきりしていません。
ちなみに、JR以外の地方鉄道では、バスへの転換が運転手不足で無理として、存続を選ばざるを得なくなったところがすでにあります。
これらの動きには、引き続き注視していきたいところです。

車両に目を向けてみると、前述の211系はもとより、その後にJRとなってから新製した第一世代の車両がすでに廃止されています。

↓JR東海初のオリジナル特急車として登場したキハ85系の最終列車
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このキハ85系は、JR東海として初となるオリジナル特急車として1989年2月18日に登場しました。
大きな窓から眺める車窓を売りとして「ワイドビュー“ひだ”」と名付けられ、好評を博しました。結果、その後に登場したJR東海の特急車も「ワイドビュー」を冠することになります。
そのキハ85系は、一昨年となる2023年7月9日(日)に特急「さよならキハ85系」としてラストランをしました。「ワイドビュー」の呼称も全廃となりました。
いまは、後継のハイブリッド車HC85系が走っています。
他のJR旅客会社も同様に、JR第二世代の車両へと代わりつつあります。

新幹線車両に至っては、走行距離が長いことからもっと更新頻度が高く、JR東海になってから登場した300系、700系はすでに全廃となっています。
700系をベースに造られた923形ドクターイエローのうちJR東海所有のT4編成は、1月29日の検測走行を最後に引退して、大きく話題になりました。
その後に登場したN700系は、N700A改造された車両が走っていますが、N700S増備にともない淘汰が進んでいます。
300系-700系-N700系-N700A-N700Sと、最新のN700SはJR東海として第五世代になります。
 
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